Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ2015年前期 第1節 関連記事-3

メキシコ「自虐サッカー」の屈折と日本の課題

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 7月末のメキシコ・リーグ開幕戦、強豪「ラ・マキナ(マシン)」ことクルス・アスルはホームにモナルカス・モレリアを迎えた。
 圧倒的に攻めながら決定機を外していたクルス・アスルは、前半30分になろうというところで、ついにPKを獲得する。キッカーは元メキシコ代表のボランチ、ヘラルド・トラード。
 だが、キックは左のゴールポストに当たり、跳ね返ったこぼれ球をクルス・アスルの選手が再びシュートするが、大きくバーを越えていった。クルス・アスルにとって、今年に入ってリーグ戦3本目のPK失敗である。
 とたんにホームスタジアムの怒りが爆発。「ロートルはとっとと引退しろ!」などとトラードを罵る怒号が渦巻いた。さらに数分後、トラードがボールを奪われてピンチを作ると、以後トラードは試合終了に至るまで、ボールを持つたび、自分を応援しているはずのサポーターたちからブーイングを浴び続けることになる。たとえそれがチャンスで決定的なパスを出すプレーだとしても。

■自チームを罵る応援

 メキシコのサッカーはしばしば、日本が目指すべきお手本として、引き合いに出される。体格が小柄で日本人と似ており、フィジカルに頼るのでなく、細かな機動力を武器にパスで相手を翻弄する点などが、日本選手にも真似できるとされている。ブラジル・ワールドカップの後にメキシコ人のハビエル・アギーレ前監督が招聘されたのも、その理由からだった。
 だが私は、実際にメキシコ・リーグのサッカーをスタジアムで見て、あまりにもJリーグからは遠いとも感じた。その1つが上記のような、観客の容赦なさである。前半のまだ反撃の時間がたっぷり残っている段階で、たった1つのPK失敗と失点にはつながらなかったミスだけで、味方からブーイングを浴び続けるという事態は、Jリーグなら考えられない。そんな行為はチームの足を引っ張るもので、ファンであればトラードが気持ちを立て直すべくさらに熱い声援を送るべきだと考えるだろう。
 そもそも、チームの要であるトラードのプレーは、何度もチャンスを作り出していた。ミスの場面も、私には、マークされているトラードにパスを出した選手の判断の誤りに見えた。
 だが、観客にはそんな事情をくむ気はないようだ。失敗すれば、とにかく罵る。結果を出せなかった者を、厳しく断罪する。逆に1対1の勝負に勝ったり、相手をあざ笑うようなプレーでかわしたりすると、絶賛する。

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■解任された代表監督

 試合は、PK失敗を機にクルス・アスルが流れを失い、直後にモレリアが見事なカウンターから先制点を決めると、数分後にもう1点追加。さらに、クルス・アスルが反撃に出ようとした後半開始直後、ディフェンダーとキーパーの意思疎通のミスをついて、3点目を奪う。
 すると、クルス・アスルのファンたちは何と、モレリアのパス回しに「オーレ、オーレ!」の大合唱を始めたのである! これは普通、味方のチームが快勝しているときに出るエールである。それを敵チームに送るメキシコ人のアイロニーときたら!
 さらに、ゴールを決めた敵のフォワードが交代になるときも、拍手を送った。敵選手へ賛辞を送っているわけではなく、不甲斐ない自チームへの嫌味なのである。
 これはクルス・アスルのファンに限ったことではない。7月には北中米カリブ選手権「ゴールドカップ」もアメリカで行われていてメキシコは優勝したのだが、そのグループリーグトリニダード・トバゴと4-4の大味な打ち合いを演じたときも、テレビの放送陣はメキシコが失点するたび、自嘲的に爆笑するのだった。ちなみに、この放送陣の面々を、メキシコの代表監督ミゲル・エレーラが帰国時の空港で殴るという事件が起き、同監督は解任された。

■「孤独」と「勝負強さ」

 メキシコ人は陽気だと言われるが、じつはとても屈折してもいる。このひねくれぶりはラテンアメリカの中でも際立っている。物事を直接的に表現するのを嫌い、ダブルミーニングの言い回しを多用する。そんな性格を身につけた要因の分析は、ノーベル賞作家オクタビオ・パスの代表的名著『孤独の迷宮』を読んでいただくとして、このアイロニーはサッカー観戦でも存分に発揮されているわけだ。
 観戦していて、このような自嘲的な罵声が納得できるものかといえば、そうとは言えない。私は、Jリーグの応援がこのようになってほしいとは思わない。セレッソ大阪に在籍したディエゴ・フォルランを始め、日本にいたことのある海外のスター選手がJリーグの環境に感銘を受けるのは、日本のサポーターの温かい眼差しがあるからこそだ。
 同時に、その優しさが、ここ一番というときの勝負弱さを作り上げていることも否めない。自虐的なブーイングを浴びながらもまったく変わらぬプレーを続けるトラードの姿に、余人には理解できないプロ選手の孤独を感じたし、その孤独を味方にできる選手だけが大舞台で力を発揮できることを、肌で味わった。
 日本のサッカーは、まだ孤独を知らない。

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思い返せば、自分がメキシコに最初に来て行ったスタジアムが『エスタディオ・アスル(ブルー・スタジアム=青いスタジアム)』

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でした。このスタジアムは旧称『エスタディオ・アスルグラナ(ブルーガーネット)』と言い、クルス・アスルともう1チーム:アトランテ(現在2部・本拠地:カンクン

アトランテFC

原語表記

Club de Fútbol Atlante S.A. de C.V.

愛称

Los Potros de Hierro(鉄の子馬)

クラブカラー

赤と青

創設年

1916年

所属リーグ

メキシコリーグ

所属ディビジョン

プリメーラ・ディビシオン

ホームタウン

カンクン

ホームスタジアム

エスタディオ・キンタナ・ロー

収容人数

20,000

というチームが共有していました。

ちなみに、アステカ・スタジアム

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も当時はクラブ・アメリカとクラブ・ネカクサ

クラブ・ネカクサ

原語表記

Club Necaxa

愛称

Rayos
(ラージョス、雷光)
, Los Electricistas
(エレクトリシスタス、電気工),
Los Rojiblancos(ロヒブランコス、赤と白),
Los Once Hermanos
(オンセ・エルマノス、11人の兄弟),
El Equipo de la Década
(エキポ・デ・ラ・デカダ、10年チーム)

クラブカラー

赤と白

創設年

1923年

所属リーグ

メキシカンサッカーリーグ

所属ディビジョン

アセンソMX(2部)

ホームタウン

アグアスカリエンテス州アグアスカリエンテス

ホームスタジアム

エスタディオ・ビクトリア

収容人数

25,500

(現在2部・本拠地:アグアスカリエンテス)という2チームが共有していました。2チームとも20年前は1部リーグの強豪で93年にアトランテ・94年にネカクサがそれぞれリーグ優勝をしたほどでした。

当時日本でもようやくJリーグが発足して、W杯アジア予選でいわゆる『ドーハの悲劇』があった訳ですが、メキシコ人の間でもカズは有名でよく聞かれました。自分の素人目で見ても当時のJリーグとメキシコリーグの技術差は歴然で、自然とメキシコリーグの魅力にハマっていきました。

 

このクルス・アスルにおける最近のホームスタジアムの盛り上がらなさは顕著で、この開幕戦に限らずサポーターの数が激減しており、その主な理由として最後にリーグ優勝したのが1997年。それからリーグ戦では常に順位表の上位にいるにもかかわらず、プレーオフとなるとまるで別のチームのような勝負弱さで簡単に敗退。ここ数シーズンはプレーオフ進出もままならず、サポーターの怒りも絶頂に達しつつあってその一連の流れでホームゲームであっても以前はサポーターで一杯だったスタジアムも半分以下の入場率であるというのが現状ということです。自チームを罵る応援とありますが、これがメキシコサッカー1部リーグでしょっちゅう起きているということでは決してありません。ただ4大チームと称されるクラブ・アメリカ、前述のクルス・アスルグアダラハラのチーバス、そして我がPUMASは確かにそういう傾向が強いとは感じますじ、それだけ常に勝利すること・リーグ優勝をすることを求められているクラブであるという証しなんだと思います。

最近メキシコ代表監督が解任されたのはニュース等でご存じな方も多いと思います。このミゲル・エレラは前述のアトランテ在籍時に自分の目の前で『エスタディオ・アスルグラナ』でリーグ優勝を決めたのでよく覚えていますが、確かに現役時代から血の気が多く感情を露わにするキャラクターでした。ただし就任までのメキシコ代表の経緯を振り返るとそれまでの監督であったホセ・マヌエル・デ・ラ・トーレがブラジルW杯予選で勝ち抜けることが困難となり、暫定でクルス・アスルの旧監督だったルイス・フェルナンド・テナ、そして前シーズン・リーグ準優勝のケレタロ現監督であるビクトル・マヌエル・ブセティッチから頼みの綱として託された訳です。それまで古巣であるアトランテやモンテレイでリーグ準優勝2回そして辿り着いたクラブ・アメリカで悲願の優勝を経験した彼はその手腕を買われ抜擢されたのですが、個人的な印象としてメキシコ国内外問わず常に選手を観察していたなという点があります。事実プレーオフに回ってようやくW杯出場権を獲得すると本大会決勝トーナメントでオランダ相手にあわや大金星というところまで追いつめたので、今後の次期代表監督が誰になるのか??非常に注目しています。