Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ2015年前期 第7節 レビュー

 

以前にサッカー日本代表 (ディフェンダー)の長友 佑都選手が、インタビューで「サイドを制する者は世界を制する」というようなコメントをしていましたが、メキシコリーグに限らず世界のサッカーでサイドハーフサイドバックが試合を決めるような場面は本当に多いと思います。

 

先週末の試合もまさにその典型と言えるもので、PUMASで言えば左サイドハーフフィデル・マルティネスやサイドバックのホセ・カルロスヴァンランキン、サントス・ラグナで言えば左サイドハーフのアンドレス・レンテリアや右サイドバックのホセ・アベージャが試合を左右する活躍をしました。スタンドで見ていて、この2人の駆け引きが非常に印象的でしたし、この2人が攻守ともにお互いをマークし合うという展開。例えば

 

 

前半8分

前線左サイドに張っていたレンテリアに、キーパーからロングフィード。ヴァンランキンがマークに付くも、交わしてシュート。ピコリンがパンチングで弾いて右サイドのコーナーキックへ逃げたものの、ホームのサントス・ラグナの先制点に繋がる伏線になりました。

 

前線13分

右サイドのスローイン。マティアス・ブリトスがイスマエル・ソーサとのダイレクトワンツーで抜け出して、ゴールラインぎりぎりから駆け込むエドワルド・エレラへセンタリングするも、相手デフェンダーのカルロス・イスキエルドスがクリアしてコーナーキックへ。これは直接得点には結び付かなかったものの、試合の流れを変えるプレーでした。

 

前半14分

右サイドのフリーキック。この時間帯はフィデル・マルティネスがそれまで位置していた左サイドからポジションチェンジしていました。予想以上にマークが厳しかったホセ・アベージャの思惑を交わす意図があったと思われます。

 

 

前線19分

左サイドから駆け込むレンテリアへスルーパス。ゴール前で決定的なチャンスになりそうなシーンで、前々節に自らのボーンヘッドで退場処分になった左サイドバックのヴァンランキンが必死に戻ってボールへスライディングして防ぐ、汚名返上の好プレー。

 

 

前半23分

左サイドからカウンターでソーサが抜け出す。中央へセンタリングを試みるも、アベージャが戻ってクリア。左サイドのコーナーキックへ。そして2度目のコーナーキックが同点弾に繋がりました。フィデルが左足で中央へ逃げるようなボールを蹴って、ホセ・アベージとのヘディングに競り勝ったマティアス・ブリトスのゴールに。 

 

前半28分

右サイドから抜け出した、アベージャへスルーパス。マークを交わされた格好の右サイドバックのルイス・フエンテスがスライディングでインターセプトを狙うも、完全にフリーに。センターバックのダリオ・ヴェロンがスイッチしてセンタリングされる。今日はフエンテスが同じような場面で、右サイドをほとんど相手にやられていました。

 

前半30分

ブリトスに手を掛けた相手デフェンダーがファールを犯して、左サイドのフリーキックに。フィデルが蹴ったボールにゴール前5人が走り込んで、中央のエレラが同点に追い付くゴール。

 

前半34分

右サイドを抜け出したレンテリアへスルーパスフエンテスがカット出来ずに、そのままゴール前中央へ。ヴェロンがスイッチしてマークに付くも、倒してしまい危うくペナルティキックになりそうなシーン。ここで再び逆転されていたら、試合の結果が全く逆になっていたポイントとなる場面でした。

 

前半36分

左サイドから抜け出したフィデルがセンタリング。中央のエレラに合わせるも、相手デフェンダーのイスキエルドスが触ってソーサの目の前にこぼれるも、ボレーシュート出来ず。

 

 

今シーズンのPUMASが今までと少々違う試合ぶりを見せるようになったのは、新加入選手であるフィデル・マルティネスの存在がやはり大きいと思います。FW陣のイスマエル・ソーサ、マティアス・ブリトス、エドワルド・エレラはそれぞれ前シーズン以前からプレーをしていましたが、フィデル・マルティネスが供給するパスやセンタリングによってそれまで活かしきれなかったFWたちの才能を引き出させています。事実マティアス・ブリトスは、それまで所属していたレオンでPUMASしか成し得なかった2シーズン連続優勝をした際には18ゴールも決めていました。にも関わらず、1年前に移籍した最初のシーズンは1ゴールしか上げられませんでした。またレンタルでクルス・アスルから移籍した、MFのアレハンドロ・カストロの存在も見逃せません。

 

 

あと4失点をしてしまったサントス・ラグナ守備陣で、いちばんそのことを見える形で表現していたのがゴールキーパーのアウグスティン・マルチェシンでした。彼は現在FIFAランキング第1位である、アルゼンチン代表のセカンドキーパーでもあります。テレビ中継には映っておりませんでしたが、前半だけで3失点してしまったことに対して「クソ!」と腕を振り上げてあからさまに怒っていました。

 

 

余談ではありますが、サントス・コロナスタジアムではアウェイのチームが陣取るスタンドがどこであるか?毎回変わるそうです。今回自分たちは南側のスタンドで見ていたのですが、先日クラブ・アメリカがチャンピオンズ決定戦(前・後期シーズン王者決定戦)で試合をした時には全然違う場所にサポーターが陣取ったそうです。またPUMASというチームはメキシコ国内中にファンが多いことで知られています。自分たちはメキシコシティからバスを貸し切って遠征してきた「レーベル」サポーターや地元のファンらがスタンドのグラウンドレベルから一番後ろまでの一角に固まって応援しているエリアとサントス・ラグナを応援しているファンとのちょうど境目にいたのですが、ゴールが決まるたびにビールの雨が降りかかってしまい一緒にいた女性が「移動しよう」と言って、後半開始からはようやく落ち着いて試合観戦することが出来ました。

 

今週末はメキシコ代表の親善試合が組まれているため、1週間のリーグ中断となります。この試合で負傷したセンターバックのヘラルド・アルコバやキーパーのピコリンにとって、怪我を癒やす意味でちょうど良い束の間の休息になりそうな感じです。