◆アンドレス・リリーニ監督の采配
これまであまりPUMASのフォーメーションについて詳しく触れてきませんでしたが、ここで改めて少し述べたいと思います。開幕戦直前になってから、急遽監督へ抜擢。よって、まずは現戦力の把握と使い分けを重点に、毎試合スタメンを様々な選手たちを起用。基本的に誰がピッチに立っても、チームのパフォーマンスが一定にする狙いがあったのだろうと思われます。事実、コロナウイルス感染や負傷者や退場による出場停止の選手が絶えないシーズンでした。シーズンを通しての基本形は4−4−2。特に中盤の4枚をその場の状況に応じて、起用するというもの。
第1節
開幕戦のフォーメーションは、5−3−2。堅守速攻型で失点を最小限に抑え手堅い試合運びを狙う。ディフェンダーは3バックの真ん中にニコラス・フレイレ、その左右にホアン・バスケスとフェルナンド・キンタナ。両サイドバックにヘロニモ・ロドリゲスとカルロス・グティエレス。中盤を3枚にして真ん中にアンドレス・イニエストラ、左右にファビオ・アルバレスとファン・パブロ・ビゴン。そして2TOPにカルロス・ゴンザレスとファン・ディネンノという形。
第2節
この試合から、4−4−2のフォーメーションをベースに戦い続けるようになる。フォーバックによるゾーンディフェンスでサイド攻撃をメインとする反面、中央突破やフィニッシュの局面ではツートップの存在度が高く、中盤の2列目からのサポートがカギとなる。センターバックがニコラス・フレイレとホアン・バスケスで、その両サイドにヘロニモ・ロドリゲスとカルロス・グティエレス。両ボランチにファン・パブロ・ビゴンと下部組織出身の若手選手:エリック・リラ、サイドにセバスチャン・サウセドとファビオ・アルバレス。2TOPは開幕節と同じ。
第3節
フォーメーションは、前節同様の4−4−2。センターバックがニコラス・フレイレと開幕節以来のスタメンとなるフェルナンド・キンタナ、両サイドにホアン・バスケスとヘスス・リバス。中盤の真ん中にファビオ・アルバレスとアンドレス・イニエストラ。前節スタメンだったセバスチャン・サウセドは負傷の為、欠場。両サイドは開幕節同様、ヘロニモ・ロドリゲスとカルロス・グティエレス。2TOPは前節と同じ。
第4節
この試合も前節から引き続き、4−4−2。センターバックはホアン・バスケスに代わって開幕節以来のフェルナンド・キンタナ。両サイドがヘロニモ・ロドリゲスとメキシコ代表のアラン・モソが今シーズン初のスタメン出場。中盤の真ん中にアンドレス・イニエストラと第2、3節は途中出場であった下部組織出身の若手選手:アマウリ・ガルシアがスタメンに抜擢。両サイドハーフと2TOPは前節と同じ。ちなみに、この試合が今シーズン通してアンドレス・リリーニ監督自身が言うところのベストゲームの1つ。
第5節
4試合続けて、フォーメーションは4−4−2。ディフェンスラインはセンターバックにニコラス・フレイレとフェルナンド・キンタナ、両サイドにホアン・バスケスとアラン・モソ。中盤の真ん中にアンドレス・イニエストラとクラブ・アメリカから移籍したレオネル・ロペス。サイドハーフにファン・イトゥルべと、この後シーズン最後まで回復に専念することになるセバスチャン・サウセド。2TOPは前節と同じ。
第6節
5試合続けて、フォーメーションは4−4−2。センターバックがニコラス・フレイレとホアン・バスケス。両サイドにヘロニモ・ロドリゲスとヘスス・リバス。中盤の真ん中に下部組織出身の若手選手コンビ:アマウリ・ガルシアとエリック・リラ。サイドハーフにファン・イトゥルべとカルロス・グティエレス。2TOPがファン・ディネンノとファビオ・アルバレス。6節になって初めて途中出場したカルロス・ゴンザレスが、アディショナルタイムに貴重な同点ヘッドを叩き込む。この試合も、アンドレス・リリーニ監督による今シーズンのベストゲームの1つ。
第7節
6試合続けて、フォーメーションは4−4−2。センターバックは、前節と同じ。両サイドがこの試合からリギージャ準決勝ファーストレグまで、ずっと先発出場することになるアレハンドロ・マヨルガとヘスス・リバス。中盤の真ん中にエリック・リラとファビオ・アルバレス。サイドハーフは前節同様で、2TOPがファン・ディネンノとカルロス・ゴンザレスに戻る。
第8節
7試合続けて、フォーメーションは4−4−2。スタメンはこれまで初めてとなる、前節と全て同じ。
第9節
8試合続けて、フォーメーションは4−4−2。基本的にはほぼ前節と同じだが、右サイドバックに今節以降ずっと出場が無くなる、ヘスス・リバスに代わってアラン・モソ、中盤の真ん中がファビオ・アルバレスに代わってアンドレス・イニエストラ。
第10節
9試合続けて、フォーメーションは4−4−2。センターバックに負傷したニコラス・フレイレに代わって、フェルナンド・キンタナ。両サイドバックはそのままで、中盤真ん中にエリック・リラに代わってレオネル・ロペス。左サイドハーフにファン・イトゥルべに代わって、ファン・パブロ・ビゴン。
第11節
10試合続けて、フォーメーションは4−4−2。今レギュラーシーズン、初黒星となる対クラブ・レオン戦。センターバックに負傷明けのニコラス・フレイレ。中盤の真ん中にエリック・リラ。両サイドハーフにファン・イトゥルべとファビオ・アルバレス。
第12節
11試合続けて、フォーメーションは4−4−2。ディフェンス陣は、前節と同じ。ファビオ・アルバレスがサイドハーフから中盤の真ん中に戻って、その穴にカルロス・グティエレス。ゴールキーパーが前節退場したアルフレード・タラベラに代わって、フリオ・ゴンザレス。
第13節
12試合続けて、フォーメーションは4−4−2。センターバックが負傷が癒えないニコラス・フレイレに代わって、フェルナンド・キンタナ。中盤の真ん中にファビオ・アルバレスに代わって、ファン・パブロ・ビゴン。左サイドハーフに今季新加入した、ファクンド・ワジェルが初スタメン出場。2TOPのカルロス・ゴンザレスに代わって、ファン・イトゥルべ。
第14節
13試合続けて、フォーメーションは4−4−2。ゴールキーパーにレギュラーのアルフレード・タラベラが復帰。センターバックにもレギュラーのニコラス・フレイレが同様に復帰。中盤の真ん中にファン・パブロ・ビゴンとエリック・リラ、左サイドハーフにファン・イトゥルべ。2TOPは、前節と同様。
第15節
14試合続けて、フォーメーションは4−4−2。中盤の真ん中にアンドレス・イニエストラとファン・パブロ・ビゴン、両サイドハーフにファクンド・ワジェルとファビオ・アルバレス。2TOPにカルロス・ゴンザレスとファン・ディネンノ。
第16節
ここで、今シーズン初めて変形の4−1−2−1−2のフォーメーション。ディフェンス陣は、前節と同じ。中盤の底をエリック・リラ1枚としてその両サイドにファクンド・ワジェルとファン・パブロ・ビゴン。TOP下にファビオ・アルバレスで、2TOPは前節同様。この試合は結果的に両チームの点の取り合いとなり、2−2のドローで終わる。
第17節
この試合で、今シーズン戦い慣れた4−4−2に戻す。ディフェンス陣は、前節と同じ。中盤の真ん中にエリック・リラとファン・パブロ・ビゴン。両サイドハーフをファン・イトゥルべとファビオ・アルバレス。2TOPは前節同様。ゴールキーパーは前節負傷したアルフレード・タラベラに代わって、最後の試合までずっとフリオ・ゴンザレス。
リギージャ(プレーオフ)準々決勝ファーストレグ
ここから、ずっと4−4−2のフォーメーション。ディフェンダー陣と中盤の真ん中は、前節と同じ。両サイドハーフが、ファクンド・ワジェルとファビオ・アルバレス。2TOPは前節同様。
リギージャ(プレーオフ)準々決勝セカンドレグ
ファーストレグ同様に4−4−2のフォーメーション。唯一の違いは、ファーストレグで負傷退場したファビオ・アルバレスに代わって、カルロス・グティエレス。
リギージャ準決勝ファーストレグ
準々決勝と同様に4−4−2のフォーメーション。そして、スタメン全員も準々決勝セカンドレグと全く同じ。
リギージャ準決勝セカンドレグ
ここでアンドレス・リリーニ監督は、ファーストレグとは少しシステムを変更する。今シーズン初めて、4−3−3のフォーメーションを採用。ディフェンス陣はこれまでと全く同じだが、中盤を3枚にして真ん中にアンドレス・イニエストラ、その両サイドにレオネル・ロペスとファン・パブロ・ビゴンを配置することで、クルス・アスルの攻撃の起点であるルイス・ロモとラファエル・バカを抑えることで、攻撃の芽を摘みファーストレグで4失点したものを見事に完封。このような臨機応変な対応が、あのメキシコサッカー1部リーグ史上初の大逆転を生み出したのである。