Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

自分にとっての里親

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自分にとって、メキシコ人の母親とも言える里親は3人います。1人は今現在居候をさせて頂いている、マリー叔母さん。そしてその妹さんである、ソレダード叔母さん。最後に約9年前に同じく1年ほど居候させて頂いた、ルシア叔母さんです。これまで自分がメキシコで生きていくために当時全く見返りを考えずに助けてくれた方々なので、自分が勝手に里親と呼ばせて頂いていて、自分がメキシコのどの場所にいようが、2週間に1度は必ずメッセージを送るようにしてきました。そして今回1年ぶりに里帰り就職をした訳ですが、彼女らの方からも「お前は、私の息子だよ。」と公言されるようになりました。
 

 

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 マリー叔母さんは一番最初に自分がメキシコへ来た際に、当時会社へ勤務しながら近くの外国人向けに英語でスペイン語を教える学校で知り合った女性の叔母さんで、その女性がよく遊びに行くところを誘われてお邪魔したのが馴れ初めでした。マリー叔母さんの家庭はメキシコにおける中流家庭で、毎週末になると家族を呼んで食事をする習慣が今もなおあります。自分の親や兄弟がメキシコへ遊びに来た際にも、夕食に招待してくださったことがあります。とても居心地が良い家で、9年前にも居候させて頂けないでしょうか?とお聞きしたところ、当時はおそらく自分がその環境に甘えてしまうことを懸念されてお断りされた経緯があります。

 

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 ルシア叔母さんは、その際に普段は病院へ診察へ行かれる地方から上京されてくる方々へ素泊まりさせてあげていたご自宅の1部屋を自分のために使用させてくれました。彼女は若い時にご主人を亡くされ、女手一つで一人息子さんを育て上げられた方です。とても商売熱心な方で、ラテンアメリカ最大の卸売および小売市場(La Central de Abasto de la Ciudad de México=CEDA)まで1週間に1度買い出しへ行かれ、それらの商品に粗利を加えて店頭で販売されていました。今回1年ぶりに戻ったところ残念なことにそのお店は閉店されて、今はクリーニング屋へ間貸しされていました。

 

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自分は幼い頃からキリスト教の教会へ通ったり、中学から大学まではクリスチャンの学校であったので、よく聖書を読む習慣があります。なおかつ20年前には、聖地巡礼ツアーでイスラエルへも行ったことがあります。そしてルシア叔母さんの家で居候していた際には、必ずトラルパンにある教会のミサへ通っていました。当時は、他に何もすることが出来なかったからです。新約聖書のマタイ福音書19章21節には、こういう下りがあります。
「もし完全(弟子)になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人に施し(憐れみの気持ちで、人が困っている状態を助けるような行為をする)なさい。そうすれば天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
 

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彼女らは見も知らぬ外国人の自分に対して、意図的ではなく反射的に助けて下さったという訳です。これはメキシコが多くの国民がキリスト教を信じているからという側面もありますが、そこらにいる通りすがりのメキシコ人であれば国民の半分以上が貧しい国なので、逆に外国人を利用して騙し取ろうとするのがごく普通です。という訳で血は繋がっていないものの、里親としてお元気なうちに今度は自分がせめてもの親孝行として日本へ少なくとも3年以内にはお連れしたいと考えております。それが人間として生まれてきて、自分のことをまた同じ人間として今もなお扱って下さる彼女たちへの恩返しになる。それをせずに今後メキシコで生き続けるのは、あり得ないことだと感じる今日この頃です。