Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ 2022年グリッタ前期 第11節 裏話

 

 

ここまで今シーズン11試合を戦って来て、1勝4敗6分の勝ち点9で総合順位表でブービー賞の第17位。ここ直近の6試合(バルセロナ遠征以降)が5敗1分で21失点。サポーター仲間の会計役であるグロリアが「これまで以前にチーム状態が悪かったシーズンはあったけど、こんなに酷い大量失点は無かった。」というメッセージを送って来たので、振り返ってみたら自分がメキシコに2度目に戻って来て、改めてPUMASを応援するようになりスタジアムへ足を運ぶようになった最初のシーズン:2013年前期ステージ以来(シーズン17試合でたった1勝のみ)であることを思い出しました。

 

 

逆に言えば今シーズン開幕から6試合は1勝無敗5分であった訳で、最初から負傷者リストに主要選手たちが入って不本意なスタメンで戦って来てはおりましたが、確かにここまでの酷い失点は喫しておりませんでした。アンドレス・リリーニ監督はディフェンスシステムにエラーがあるという指摘をしておりますが、それは最終ラインであるセンターバックが守り切らなければならない部分を、以前はニコラス・フレイレと2020年東京オリンピック競技大会でメキシコ代表として銅メダルを獲得した後、セリエAのジェノアCFC(今シーズンからUSクレモネーゼ)へ移籍したホアン・バスケスとで鉄壁の守備を誇っていました(事実、2020年後期ステージにはリギージャ決勝まで進出)。

 

 

その後メキシコサッカー2部リーグのPUMASタバスコからTOPチームへ加入、現在ではメキシコA代表に招集されるようになったアルトゥーロ・オルティスが代役を務めるようになって今に至ります。ただ彼が今シーズン開幕時に負傷をしてリハビリ中であったので、同じようにPUMASタバスコからリカルド・ガリンドやホセ・カイセド(今節2失点目のフリーキックを壁としてブロックしなければならないのに、避けてしまった)、サイドバックのポジションにもパブロ・ベネベンノらをスタメン出場させるようになりました(事実、2021年前期ステージにはリギージャ準決勝まで進出)。

 

 

元々アンドレス・リリーニ監督はユースアカデミーの下部組織チームの監督であった為、彼ら若手選手たちをTOPチームへ昇格させて、かつてメキシコA代表の基盤となっていた下部組織出身選手たちを育成するというクラブのプロジェクトを担っています。ただし彼ら全員が同じく以前に所属していて、クルス・アスルへ移籍して行った現メキシコ代表:エリク・リラのように育つ訳ではなく、やはりメキシコサッカー1部リーグのプレースピードやインテンシティに付いて行けるようになるには、選手1人1人のキャパシティやスキルは勿論のこと時間も掛かります。おそらく辛抱に辛抱を重ねて、試合でミスをしても目を瞑って育つのを待っているのでしょうが、これには限界があります。かと言って、彼らの獲得したポジションに更なる補強選手たちを契約出来るだけのクラブ台所事情が豊かな訳でも無いので、仕方無く起用し続けるしか無いというのが現状です。確かに将来的にはクラブの資産となり、TOPチームでもゆくゆくは活躍出来るようになるのでしょうが。

 

 

最後にちょうどこの連敗が始まった時期に移籍して来た、ダニエウ・アウヴェスについて。彼がバルセロナFCにおける契約更新が切れて、世界各国リーグのクラブへ移籍先を探していた際に今年の年末に開催される2022年FIFAワールドカップ・カタール大会へブラジル代表として出場する為に、代表監督:アデノール・レオナルド・バッチ(チッチ)から「コンディション維持のために、競争力のあるリーグでプレーするように」という指示がありました(実際、先日コーチ陣スタッフがオリンピック・スタジアムへブラジルから視察へ来ていました)。

 

 

さらには彼自身キャリア通算44タイトルを獲得しており、最後にどうしても欲しいタイトルがワールドカップ。また移籍先のクラブが、リーグ優勝を争えるだけのビッグクラブという条件もありました。先日メディアで巻き起こった「ダニエウ・アウヴェスは、各試合でフル出場するのが契約条件に織り込まれているのではないか」という疑惑も、そういう意味では理解出来なくはありません。また何よりも彼が移籍してから、それまで順調そうに見えたフォーメーションを再三変更したり、彼の存在が故にそれまでチームの中心選手であったレオネル・ロペスがベンチに追いやられていることも、理由の1つに挙げられるでしょう。とりあえず今シーズンはこのまま見守り続けることしか、他に出来ることは他に有りません。