こちらには、
で書ききれなかった部分の補足を。
1st、2ndレグ共にファールが多い試合で、1stレグがクラブ・アメリカが20、PUMASが14。2ndレグがクラブ・アメリカが25、PUMASが8。イエローカードに至っては、1stレグがクラブ・アメリカが7(うち2人が2枚でそれぞれ退場)、PUMASが5。2ndレグがクラブ・アメリカが6(うち2人が2枚でそれぞれ退場)、PUMASが3。結果的に見ればイエロー累積が多かったクラブ・アメリカが両試合で2人ずつ退場したおかげで、せっかくそれまでは攻勢に出ていたのにも関わらずその後の展開が苦しくなり決定的な失点を喫した形。
中でも2ndレグ終了後のインタビューでクラブ・アメリカの代表取締役であるリカルド・ペラエスが指摘した、2ndレグ前半20分にハヴィエル・コルテスがもろにハヴィエル・グゥエメスの足へタックルしたプレー。この激しいタックルにより、グゥエメスはそのまま救急車で病院へ搬送。診断は骨折であり、13日(日)から日本で開催されるクラブ・ワールドカップへの出場が不可能となった。チームメイトのダリオ・ベネデットも試合後のツイッターで「なぜ骨折するほどのタックルを受けたのに、イエローカード1枚も出ないんだ!!」と苦情を申し出たくらい。前述のペラエスもコルテスの決勝戦におけるプレーは不可能にするべきだとクレームを付けており、おそらくそうならざるを得ないという見込み。
当然両チームによる駆け引きは本来プレーの質で競うべきプレーオフの舞台で、いかにしてレフェリーがイエローカードを出させるか??のアピール合戦になってしまった感が否めない。暴力沙汰は慎んで欲しいというメッセージを試合前にしていた本人たちがピッチの中でミイラ取りがミイラになるような結末は、試合に集中して欲しかったサポーターたちにとっても残念だったのではないでしょうか。
それでは、今シーズンのメキシコリーグ開幕前のプレシーズンマッチやリーグ戦を数試合見た印象として個人的に印象に残ったチームを挙げてみます。
まずは、プレーオフ決勝でPUMASと当たることになったリベルタドーレス杯を戦うための大型補強をしたティグレス。もともと失点が少ない(今シーズンも、全17節で16失点のリーグNo.1守備陣)に加えて、フランスのリーグアンから移籍した2010~2015年マルセイユに所属し155試合で59ゴールを決めたアンドレ・ピエール・ジニャック、2011年からメキシコ代表でもあり2013年にビジャレアル、2014年からラーヨ・バジェカーノというスペインリーグで活躍していたハヴィエル・アキーノ、さらにはメキシコ人プレーヤーで最も足が速いという噂の快速サイドバック、ユルゲン・ダムという厚みを増した攻撃陣は、このプレーオフでもここぞという場面で結果を出しています。
惜しくも準決勝でPUMASに敗れはしたものの、毎年高額な年棒で補強をするクラブ・アメリカのFW陣(ダリオ・ベネデット、ダーウィン・キンテロ、マイケル・アロージョ、オリベ・ペラルタ)が揃った時の破壊力は、凄まじいものがありました。
同じく準決勝でティグレスに敗れた、トルーカ。ブラジルの名門フラミンゴから移籍してきたFWダリオ・ボッティネッリや、アルゼンチン1部リーグを渡り歩いたエンリケ・トリベリオエンリケ・トリベリオ、先日のコパ・アメリカでも活躍したペルー代表の売り出し中の若手クリスティアン・クエバなど選手の駒は揃っていたものの、まだメキシコリーグに慣れていない感はあったように感じます。
他にも2009~2014年の間に2度の自国リーグ優勝を経験しているコロンビア代表FWのエドウィン・カルドナや、アルゼンチンの名門リーベルからポルトガルリーグのベンフィカにいたロヘリオ・フネス・モリなどの攻撃陣を擁しながら、せっかくホームスタジアムを新装して弾みを付けたかったであろう、最後の最後にプレーオフに進出出来なかったCFモンテレイなど。
どのチームも共通点は、安定しない守備陣を抱えていることでした。クラブ・アメリカはホームゲームでなかなか勝てないもののアウェイでは強さを見せたり、逆にホームではそのクラブ・アメリカに圧勝したにも関わらず、逆にアウェイで脆さを露呈したクラブ・レオン。CFモンテレイはホームゲームで良い試合をするけれど、最後にどうしても勝ち切れずに同点に追い付かれてばかり。プレーオフ決勝戦に残った2チームは、最終的にリーグNo.1と2守備陣を持つティグレスとPUMASだったことからもその重要さが浮き彫りになったと言えるでしょう。