Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ 2022年グリッタ前期 第8節 UNAM 0-3 América

 

クラブ・アメリカがPUMASに対して、メキシコシティダービーで大勝。今シーズンの無敗を途絶えさせる

 

 

クラブ・アメリカは力強く、総合順位表における順位を上げるという目標を達成する勝ち点3を獲得。PUMASは危機に陥る

 

 

クラブ・アメリカはオリンピック・スタジアムに乗り込み、勇敢に争うだろうと期待されていた悲しきPUMASに対して、先制した。PUMASは先週バルセロナで起きた悲劇のトランス状態*1であるかのようなスピリッツが無いチームのままであった。爆発力を演じて、それが単なる偶然だったことを示すチャンスだったのに、魂のないチームとしてホームスタジアムに棒立ちのままであった。そしてクラブ・アメリカは、反論の余地のない3-0で勝利を収めた。

 


そしてクラブ・アメリカは確立された試合運びで、ピッチに立った。明確でかつベストな方法で、試合を進めた。そう明確に攻勢であるかのように見えつつも、完全に主導権を握らないにもかかわらず、少しずつ試合の主導権を握った。試合は中盤における安定さを欠き、選択肢が少なくなり、クラブ・アメリカが優勢に見えた。アレハンドロ・センデハスが相手チームの守備バランスを崩し始め、マークに付いていたアドリアン・アルドレテを釘付けにし、サイドから離れた際にあわや先制点かと思われたが、ゴールキーパー:フリオ・ゴンザレスが抑えて難無きを得た。

 

 

これに対してPUMASはすぐさま反撃せず、相手ゴールキーパー:ギジェルモ・オチョアを動揺させるようなことは出来無かった。PUMASは散発な攻撃をするものの、中盤において繋がりが無かった。エドゥアルド・サルビオ、グスタボ・デル・プレテ、セサル・ウエルタらはそれぞれ孤立してパスが届かず、ボールを持った時に前進することが出来なかったので、その攻撃の重みと存在感に欠いていた。中盤におけるボールの奪い合いは明確性が無く、それは試合の行方を変える状況であった。ダニエウ・アウベスはボールを取りに行って、後方から試合を組み立てようとした。前半37分、クラブ・アメリカはボールを取り戻して、アレハンドロ・センデハスがエンリ・マルティンへパス。これをアドリアン・アルドレテを背に受けて、放ったシュートはクロスバーに直撃。このリバウンドをゴール前に詰めていたディエゴ・バルデスがダイレクトボレーで先制。

 

 

クラブ・アメリカが試合の重要な局面を制したので、当然のことながら主導権を握った。PUMASは要求された勇気を持ってメキシコシティダービーに臨まなかったので、劣勢に回った。レオネル・ロペスを下げて、セサル・ウエルタを先発させたアンドレス・リリーニ監督のプランは上手く行かず、チームは醜い形で壊れてしまった。ディエゴ・バルデスがエンリ・マルティンにボールを落として、最後はホナタン・ロドリゲスが押し込むだけの場面では、ゴールキーパー:フリオ・ゴンザレスがこれを見事に反応したので、さらに試合は劣勢になるところを押しとどまった。

 


PUMASはショックを受けて、アンドレス・リリーニ監督が取れる手段としてはベンチメンバーを途中交代出場させることだけであった。ファン・ディネンノを下げてジオゴ・デ・オリヴェイラ、アドリアン・アルドレテを下げてヘロニモ・ロドリゲス、セサル・ウエルタを下げてレオネル・ロペスをそれぞれピッチへ送り出した。しかしながらその効果は数秒しか現れなかった。なぜならエドゥアルド・サルビオが最高のプレーをしたにもかかわらず、相手ゴールキーパー:ギジェルモ・オチョアがこれを抑えたからだった。

 

 

これに対するクラブ・アメリカの反撃は、まるでハンマーで打ち付けたかのようにPUMASの士気を一気に下げた。後半12分、左サイドからボールを奪ったエンリ・マルティンは前を走るホナタン・ロドリゲスへと繋ぎ、そのスピードとクオリティでマークに付いたパブロ・ベネベンノとニコラス・フレイレらを振り切り、最後はゴールキーパーとの1対1を制して追加点。PUMASは躓き、片方でクラブ・アメリカは非常に規律良さを保ちながら勝利への道を突き進んでおり、そのリードを拡げていった。アンドレス・リリーニ監督はさらにグスタボ・デル・プレテを下げてマルコ・ガルシアを投入したが、それでもなお局面を変えるまでには至らなかった。

 


PUMASは平静を保とうとし試合を進めようとしたが、時すでに遅しだった。クラブ・アメリカは冷静に試合をコントロールし続けてぶつかり合わなければならない時には安全に力を注ぎ、1対1の局面においても恐れることなく対峙した。後半32分、アレハンドロ・センデハスがペナルティーエリア手前で受けたボールを相手ディフェンダーを交わしながら放った左足のシュートは、ピッチにおける優勢さを反映したダメ押し点となった。

 

 

PUMASはオリンピック・スタジアムにおけるホームゲームで、メキシコシティダービーが必要とするチームの個性やスピリッツ、闘志を欠ける試合をすることで、この試合前まで無敗であったが最悪な形でこれを失った。クラブ・アメリカは誇りを持ちつつも、全ての面においてとても良いサッカーで勝ち点3を挙げた。これまでの不振を打ち払い、少しずつ本来いるべき順位に近づいている。次週は週2試合が組まれており、その2試合目に対クルス・アスル戦(メキシコシティダービー)ではチームの完全な復活を示すチャンスである。PUMASは無様な試合を続け、対バルセロナFC戦は親善試合であったが、対クラブ・アメリカ戦は引き続き惨めな姿を晒し、それまでのリーグ戦無敗は途絶え、勝ち点を失いオリンピック・スタジアムにおいて多くの疑問を投げかける結果となった。

 

*1:現実感が喪失したり,刺激に対する感受性が低下したり,さらに意志的な動作がなくなったり,自分の意志によらずに自動的な運動が生じたりするなど,睡眠に似た心的状態