Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ2020年ガーディアンズ プレーオフ準決勝 プレビュー

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リギージャ(プレーオフ)は、レギュラーシーズンとは全く異なるトーナメントであると誰もが口をそろえて言います。どんなに成績やそれまでしてきたサッカーの質が高くても、いざリギージャにおける試合が始まるとまるで今までとは全く違ったチームであるかのようなプレーをします。

 

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度合いの大小はともかく、クラブ・レオンのリギージャにおけるプレーは、少なくともレギュラーシーズンに対戦チームを圧倒してきたそれとは異なります。準々決勝のファーストレグもアウェイゲームとは言え2-1の数字以上に酷く、セカンドレグのホームゲームで2-0とひっくり返しましたが、もしプエブラFCが1点挙げていたら同じスコア合計が3-3とは言え、アウェイゴールの差でもう1点挙げなければ敗退が決まっていたところでした。

 

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一方で毎シーズンリーグ優勝を義務付けられているクラブ・アメリカは、ここ数年良い意味でリギージャにおけるプレーはレギュラーシーズンのそれとは全く違うものでした。前半開始早々からボールに対するプレッシングは比較にならないほど激しく、まるでこの試合に照準を絞っていたかのように、レギュラーシーズンをケガで棒に振った選手たちが生き生きと活躍。ある意味、メキシコサッカー1部リーグを熟知しているとも言えました。そのらしさが全く見られないまま、今シーズンのリギージャ敗退が決まりました。

 

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逆にここ数年ビッグクラブであるにもかかわらず、何シーズンもリギージャ進出をしていなかったCDグアダラハラやクルス・アスルの試合ぶりは、毎シーズンクラブ・アメリカがリギージャでしていたプレーそのものと言えるでしょう。前者は開幕前に各クラブの若手で将来有望な選手たちを次々と獲得して、大型補強。ただ彼らはビッグクラブへ移籍できたことで成功したと勘違いをし、夜の繁華街などで羽目を外したりして、本来注力すべきだったサッカーを疎かにしてしまい、チームワークが全く取れていませんでした。

 

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後者はシーズン前半こそ快調に勝ち点を積み重ね、約4半世紀ほど遠ざかっているリーグ優勝を今シーズンこそはと思わせました。しかしながらシーズン終盤にはそのような試合運びは影を潜め、敗者復活戦への参加が免除されるうえにリギージャでセカンドレグをホームゲームで戦える総合順位表第4位までを争う試合となった最終節に、ホームゲームで対PUMAS戦を85分間にわたり試合を支配しながら、最後の5分間で2点を献上。逆に相手チームへその特権をプレゼントする格好となりました。

 

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そしてそのリギージャを勝ち上がった4チームが戦う準決勝が、いよいよこれから始まります。本日夜行われる一戦は、前述のとおりクラブ・レオンがCDグアダラハラのホームゲームでファーストレグを戦いますが、逆に言えばCDグアダラハラはここでクラブ・レオンに勝てないようでは、セカンドレグをホームで戦う今シーズン最も良いサッカーをしていた相手に非常に勝ち目が少ない試合を強いられるでしょう。

 

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我がPUMASが戦うもう一戦は、最終節で劇的な勝利をアウェイゲームであげた対クルス・アスル戦。もちろん今度はこの間の最終節のような試合運びを相手が許すとは思えないですが、まずは準々決勝でPUMASがしたようなアウェイゴールを奪って失点を極力ゼロに抑える。そしてキックオフ時刻が本来の日曜日正午からナイターゲームに変わりましたが、今シーズン無敗であるオリンピック・スタジアムでホームアドバンテージを最大限に発揮するということに尽きるでしょう。

 

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昨晩ESPNのインタビューでアンドレス・リリーニ監督が答えていた言葉を最後に記しておきます。「今シーズン選手たちが見せてきたプレーを、リギージャで出来ていないのは不満だ。周りの人たちに、自分たちは本当は違うんだというところを見せてほしい。ウチのチームが運が強かったから、レギュラーシーズン全17試合でたった1敗しかしなかったとは思わない。競争力があって、サッカーの質やスケールが高い4チームの中に残ったのだから。今は決勝戦の相手がどうこう以前に対クルス・アスル戦を勝利することだけに集中している。」