Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ2020年ガーディアンズ リギージャ準決勝 1stレグ・レビュー

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昨日、リギージャ(プレーオフ)準決勝のファーストレグが終わりました。結果は4-0というPUMASの大敗。原因はいろいろありますが、一番大きかったのは試合開始早々の立ち上がりで自陣におけるビルドアップをする前のボールコントロール。加えてPUMASで現在プレーをしている選手たちは、経験したことがない約2年ぶりの大舞台。そしてその2年前といえば、奇しくも対クラブ・アメリカに大敗を喫した同じアステカ・スタジアムでした。特にアラン・モソはその舞台を実際に体験し、改めてプレーをするということでトラウマを繰り返したくないというプレッシャーが掛かったことでしょう。これまで見せたことがないようなミスを再三にわたって犯していました。

 

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なぜ3度もPUMASはこのような悲劇とも言える結果を繰り返すのでしょうか?自分は、2年前自分自身に対して同じ問いをしました。当時ダヴィッド・パティーニョ監督が今シーズンと同じようにレギュラーシーズンを総合順位表の上位4チームに入る成績を収め、リギージャへ臨みました。そこで起きたのは、今回同様レギュラーシーズンでは見せなかったようなミスを犯し、試合開始早々から相手に失点を許すという大失態。前半を終わってみれば、4-1。その後の後半立ち上がりにも失点は止まらず、最終的に6-1。

 

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その際に自分はシーズンを通して振り返った時に、改めてレギュラーシーズンとリギージャはまったく違うトーナメントであるということをハッキリ認識し直しました。いくらレギュラーシーズンで良い成績を収めようが、いざリギージャが始まればそれは一旦リセットされる。そして、その場で勝った方が次のステージへ進める。さらに言えば、本当にリーグ優勝を狙うチームは初めからこのリギージャに照準を絞っていて、レギュラーシーズンはさほど全力で戦わず、リギージャで初めて100%の力で戦うということです。選手たちのコンディション作りも同様で、レギュラーシーズンではあえて100%の状態に持って行かず、リギージャに照準を絞ってそれまで負傷した選手たちも回復に専念する。

 

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当たり前と言えばそれまでですが、各チームの経営状態などでそれが出来るチームとそうでないチームとがハッキリ分かれます。例えばクラブ・アメリカやCFモンテレイ、クルス・アスルやUANLティグレスのようなクラブチームは、資金を豊富に持っていて優秀な選手たちを揃え、他のチームであればスタメンクラスの選手たちでもベンチを暖める。そして、各試合(リーグ戦、カップ戦)の局面に応じて選手を使い分けをする余裕があります。よってレギュラーシーズンは余力を残していながらも常に総合順位表の上位をキープし、リギージャで初めて全陣容をフル活用して全力で戦う。逆にPUMASのようなチームはそのような陣容を持っていないので、レギュラーシーズン開幕から全力で総合順位表の上位を目指します。もっと言えば、レギュラーシーズンにおける成績は必ずしも各チームの実力と比例していないということになります。

 

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具体的に例を挙げれば、今回対戦したクルス・アスル。レギュラーシーズン最終節で試合の大半以上(約85分間)においてボールを支配され、得点チャンスも多くあったにもかかわらずそれを決められず、残りの5分間で追い付かれ逆転されました。これを前述の通りにクルス・アスルが、前もってこの試合はプレ・リギージャだという認識で勝ち負けを度外視して臨んでいたとしたら、今回の敗戦は十分に納得がいきます。そして、そういうレギュラーシーズンの戦い方ができる陣容であるということです。その余裕があるか?どうかがそれぞれのクラブの実力なのです。

 

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これまでのPUMASが蒙ってきたリギージャにおける大敗。実際にそれをスタジアムで観戦していて、もう2度とこんな試合は見たくないと感じました。それもレギュラーシーズンを順風満帆に終えて、これなら今シーズンはリーグ優勝を期待できるかも?という淡い期待を持って、いざリギージャに臨んでみたらコテンパンにその夢を粉砕される。よって自分には、すでにその免疫のようなものが形づけられたのです。それを踏まえて今シーズン、開幕前にそれまで指揮を執っていたミッチェル監督が突然の辞任。そして最終オプションとも言える、下部組織全体を管理していたリリーニ監督の就任。結果的にはレギュラーシーズン総合順位表の第2位でしたが、その過程の中で個人的に納得がいかない部分が多くありました。

 

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先日更新したESPNの独占インタビューなどを見て、もしかしたらそれでも今までのトラウマを払拭できるかもしれないと思いましたが、やはり同じなのかと感じざるを得ません。あえて言いますが、彼の今シーズン指揮してきたことは素晴らしいの一言です。ただ彼自身もこれまでの試合後のインタビューで何度か触れていましたが、今のチームのパフォーマンスや結果に必ずしも納得していない。また、自分は試合に負けるということは嫌いであると明言していました。よって指揮を執るようになってから初めて臨むリギージャに対して充分な準備や各シチュエーションにおける対応を考えていただろうと予想します。最後に試合後のリリーニ監督の言葉を記しておきます。

「これだけの大敗をしても、まだ心までは折れていない。日曜日のホームゲームで、改めて相手チームと対峙する。前半の立ち上がりで3失点したことで、今シーズンこれまで積み重ねてきたものを全て失った。それは非常に大きな悲しみで落ち込むのは当たり前だが、そこで留まるつもりは毛頭ない。」