Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

ダニエウ・アウヴェスに対するPUMASの投資は、正解であったのか?

 

この問いに対する興味はFCバルセロナのファンの方であればもちろんのこと、現在勤務している会社の同僚ですら自分に聞いてくるぐらいですから、メキシコ人にとってもかなり重要な話題であると思われます。

 

もともとPUMASが必要としていた補強は主に守備陣であり、攻撃陣ではありませんでした。そのポジションは両サイドバックとセンターバックであり、その理由はメキシコサッカー1部リーグでは、いかに攻撃陣が得点を奪うかを競うためにフォワードはもちろんのこと、また相手チームによる攻撃を防ぐためにも同様に、各チームともに優秀なサイドバックの補強合戦を繰り広げている状況です。

 

 

氏名(年齢、所属クラブ、ポジション、移籍金)

ヘスス・アングロ(25歳、UANLティグレス、左サイドバック=メキシコ代表、9億8000万円)

ケビン・アルバレス(24歳、CFパチューカ、右サイドバック=メキシコ代表、7億1000万円)

エリック・アギーレ(25歳、CFモンテレイ、左サイドバック=メキシコ代表、7億1000万円)

オマール・カンポス(20歳、サントス・ラグーナ、左サイドバック=メキシコ代表、7億1000万円)

フアン・エスコバル(27歳、クルス・アスル、右サイドバック=メキシコ代表、7億1000万円)

ジャイロ・モレノ(27歳、クラブ・レオン、左サイドバック=コロンビア代表、6億3100万円)

 

 

チームがここ数年一番安定したパフォーマンスを発揮していたのは、レギュラーシーズン第2位でフィニッシュした2020年前期ステージでした。当時スタメンであったサイドバック:アラン・モソ(25歳、CDグアダラハラ、右サイドバック=メキシコ代表、9600万円)、アレハンドロ・マヨルガ(25歳、CDグアダラハラ、左サイドバック=メキシコ代表、5億2000万円)がそれぞれCDグアダラハラへ移籍してしまい、十分にその補充をしないまま迎えた2022年前期ステージに対FCバルセロナ戦(0-6)、対クラブ・アメリカ戦=メキシコシティダービー(0-3)、対サントス・ラグーナ戦(1-5)といったトップレベルの相手チームとの対戦で大敗を喫したという訳です。

 

そこで、クラブが白羽の矢を立てた大型補強の1つがダニエウ・アウヴェスでした。問題は彼が史上最高のサイドバックの1人であることは周知の事実ですが、39歳という年齢に加えてそれまで保っていたプレーレベルが下がっていたため、当時監督だったアンドレス・リリーニは彼をボランチで起用。ここに大きな誤算が生じたという訳です。もちろん彼のようなレベルのサッカー選手を移籍させることは、クラブにとってはもちろんのこと、メキシコサッカー1部リーグにとっても有益であったことは間違いないでしょう。

 

ただPUMASというクラブにとってはかつて不可能なレベルの移籍であり、有力スポンサーらに依頼をして出資してもらってやっと支払えたそのサラリーでした。当然ユニフォーム販売やスタジアム入場料などでその出費を賄おうとした訳ですが、結果的にシーズン半ばに合流しFIFAワールドカップ・カタール大会への出場で、プレシーズンにも間に合わず開幕戦からベンチスタートであったことを考えると、必ずしもその投資に見合ったパフォーマンスを常に発揮できた訳ではありません。

 

 

ラファエル・プエンテ現監督は、プレシーズン開幕の際にハッキリとそれまでレギュラーだった選手たち(パブロ・ベネべンドやリカルド・ガリンド、ヘロニモ・ロドリゲスら)は戦力外であるという認識をしておりましたが、それ以前に監督候補に名前が上がっていたリカルド・フェレッティやギジェルモ・バスケス、ハイメ・ロサーノらは、それらのポジションにキチンとした補強を行なった上で彼ら自身の年棒を要求したため、クラブにとっては、到底支払うことの出来ない金額となり、最終的に現監督に落ち着いたという経緯があります。

 

言わずもがな何が起きるか分からないのがメキシコサッカー1部リーグです(前述の2020年前期ステージですら、個人的に難しいだろうと思っていたにもかかわらず、リギージャ=プレーオフ決勝まで進出した)ので一縷の望みは持っておりますが、私自身が目標としているPUMAS8度目のリーグ優勝をスタジアムで観戦するのは、このままであれば早くても2~3シーズン後であろうと思っています。