Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ 2023年前期ステージ 第12節 Cruz Azul 1-4 UNAM

 

PUMASが対クルス・アスル戦における大量得点勝ちでリギージャ(プレーオフ)進出を見据え、クルス・アスルはほぼ今シーズン終了

 

 

セサール・ウェルタによる素晴らしいゲーム、クルス・アスルの反攻が無く試合はPUMAS有利に傾く

 

PUMASはメキシコシティダービーでは欠けていた勇気と決定力を、この試合(対クルス・アスル戦)まで取って置いたかのようなアステカ・スタジアムにおける力強い試合運びで、一週間前には枠内に飛んだシュートがたった2本のみであったのに対してこの試合では4得点を決め、さらに追加点を挙げられたほどであった。この1-4という結果はPUMASにとってリギージャ進出をほぼ確定させ、逆にクルス・アスルにとっては残り5節を全勝しないとそれが不可能となった、まさに今シーズンのクルス・アスルにとってホームゲームは鬼門(4敗1分け)である。両チームは共に1週間に2試合の日程で平日に行なわれた1試合目を勝ってこの試合にやる気満々で臨んだ。

 

 

クルス・アスルは今シーズンのホームゲーム未勝利というどうしても勝たなければならない状況で、PUMASにとってはこの試合で勝ち点3を挙げることでリギージャ進出が見えていた。この試合は、両チームともダメージを受けないことを優先し、攻撃で活力を取り戻すことを優先しており、防御面での警戒を緩めることなく、両チームが選択肢を模索する息詰まる1戦となった。 得点チャンスを試みる場面はいくつかあったが、実際に決定機となるようなものは何もなかった。ただPUMASのゴールキーパー:フリオ・ゴンサレスが活発に見え始めた。メキシコチームA代表に初招集された彼は、ウリエル・アントゥナを狙ったカルロス・ロトンディからのセンタリングを逸らした。

 


PUMASによる攻撃は徐々に活性し始めたが、セサール・ウェルタがその存在感を表すまで明確な得点チャンスを見つけることはできなかった。彼はイエローカード累積(5枚)による出場停止が前節で解けて先発メンバー復帰し、左サイドから入って加速してロドリゴ・ウエスカスを置き去りにし、ラファエル・ゲレロがそのカバーに入ってブロックしたプレーがペナルティーキックのファールとなった。これを相手ゴールキーパー:アンドレス・グディーニョに止められたが、前節試合後の記者会見でアントニオ・モハメド監督が語っていた「主審はオンフィールドレビュー(OFR)へ行き、接触を細かく観察し、VARの注文によってペナルティーキックを課す」というものが、相手ゴールキーパーがフライングしたので、今度はペナルティーキックの蹴り直しが課せられたのであった。2度目のキックはセサール・ウェルタがアンドレス・グディーニョを見事に欺いて、前半29分にPUMASが先制した。

 

 

クルス・アスルがしなければならなかったのは、その一歩を踏み出し、決意と信念を示し、熱意を持ってプレーすることだけだったが、PUMASは手堅い守備ブロックを固めており、加えてクルス・アスルのストライカーらの狙いはベストではなかった。アンヘル・セプルベダはほとんどその存在感を無くしていた。ウリエル・アントゥナとカルロス・ロトンディは両サイドで意欲的な攻撃を仕掛けたが、その効果は現れなかった。しかしセットプレーからのミスで同点に追いつかれた。 イグナシオ・リベロが左サイドのコーナーキックを蹴って、ファン・ディネンノがこれをクリアしようとして短くカットしたものの、ウリセス・リバスやガブリエル・フェルナンデスも届かないところを間に合ったのはアンヘル・セプルベダで、アディショナルタイムに再び(前節アウェーゲームでハットトリック)クルス・アスルを救う同点弾を押し込んだ。

 


後半に入ってアントニオ・モハメド監督は、ファン・ディネンノを下げてロバート・エルガスを途中出場させることで、ディフェンスラインを3バック+2サイドバックに修正し、セサール・ウェルタにより自由にプレーをさせる決断をした。PUMASはこのフォーメーションに慣れるまで時間が掛かり、途中ネイサン・シルバがアンヘル・セプルベダをフリーにしてしまい、危うく同点ゴールを決められるところであった。これに対して自由さを得たセサール・ウェルタは後半15分、自陣からボールを奪ってドリブル突破。相手ディフェンダーを引き連れて、放ったシュートはゴール左隅上に突き刺さった。

 


クルス・アスルは追い越された不安とリギージャ進出のために勝利する必要性に打ちのめされ、リアクションをする方法を見つけることができず、PUMASは攻撃を開始した。 セサール・ウェルタはあわやハットトリックかというシュートを外したものの、幸運の女神がに微笑んだのは後半27分、ウリセス・リバスが放ったミドルシュートはフアン・エスコバルに当たり、逸れたボールはもはや相手ゴールキーパー:アンドレス・グディーニョが身動き1つ出来なかった。こうしてPUMASが、クルス・アスルよりさらに前へ先行する3点目を決めたのであった。

 

 

クルス・アスルはもはやリアクションをする気力も残っていなかったが、後半35分セットプレーからロバート・エルガスがペナルティエリア内をドリブル突破、弾いたシュートのリバウンドを拾って、最後はネイサン・シルバが止めとなる4点目を決めて、完全に方向感覚を失った相手チームを撃破した。PUMASが自らの攻撃で、勝利をもぎ取った。両者の現実は対照的に大きく異なり、PUMASはリギージャ進出がほぼ確定、クルス・アスルは残り5節を全勝しないとリギージャ進出が不可能となった。