Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ2021年ガーディアンズステージの3分の1を消化して

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ここまでPUMASは6節を消化して、1勝3敗2分けの勝ち点5の総合順位表ににおいて第13位というポジションにあります。昨シーズンは全17節でたった1敗であったのに、何故こういう状況になってしまったのでしょうか?まず第1に挙げられるのが、攻撃陣の両翼を担っていたカルロス・ゴンザレスの退団。そして第2節でもう1枚のファン・ディネンノまでもが負傷により、戦線離脱してしまったことです。前節が終わった後の記者会見で、アンドレス・リリーニ監督はこう語っています。

 

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2TOPにしたことで悪い流れを変えられたので、とても気に入った。それはスタメンでキックオフした場面から途中で選手交代させた時にサッカーのクオリティーをより上げられ、最高の選手たちを選択することだ。

 

2TOPにすることで、もっとビルドアップ出来る状況へ変えられた。 前半ファビオ・アルバレスはラストパスがうまくいかなかったが、後半は状況が変わりファン・パブロ・ビゴンは彼との関係が深まり、相手の敵陣に辿り着き始めた。

 

前半20分はデポルティーボ・トルーカがアレクシス・カネロをポストとするオプションで当たってきたので、落ち着かせるのに苦労した。ファクンド・ワジェルが孤立して中で敵陣へ到達しようとしたが、相手チームもまた自陣へ到達しなかった。後半に入って漸く試合をコントロールすることが出来て、相手を推し戻せた。

 

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言うまでもなく昨シーズンの成績が物語っているように、PUMASにとってベストのフォーメーションはリギージャ(プレーオフ)決勝の1stレグでそうだったように4−3−3であることは疑いようがありません。しかしながら冒頭に書いたように、センターフォワードがファン・ディネンノ1枚になったことにより、今シーズンの開幕戦におけるフォーメーションは4−1−4−1にせざるを得ませんでした。

 

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さらにそれまで中盤の真ん中にいたアンドレス・イニエストラと左サイドバックだったアレハンドロ・マヨルガの2人も退団したことで、前者のポジションにはエリク・リラが1枚、後者のポジションにはヘロニモ・ロドリゲスがそれぞれ入ることになった訳ですが、2人とも下部組織出身選手で1部リーグにおけるプレー経験が浅く、彼らのようになかなかそれまで通りのプレーをすることが出来ないうえに、慣れていないフォーメーションにも苦労しました。

 

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そこで一時的に第2節のみ、フォーメーションを以前の4−3−3に戻しました。しかしながらその試合で今度はファン・ディネンノまでもが負傷退場してしまい、たまたま途中交代で出場したエマヌエル・モンテハーノがデビュー戦にもかかわらず、得点まで挙げる活躍をしました。そこでディネンノが回復して再度出場出来るまでの間、彼が代役を務め再び1TOPである4−1−4−1に第3節から変えたという訳です。

 

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この4−1−4−1のフォーメーションにおける攻撃面の特徴として、後列の選手によるペナルティーエリア内への飛び出しが重要となってきます。サイドバックであるカルロス・グティエレスやファン・マヌエル・イトゥルべの積極的な攻撃参加によりサイドアタックを仕掛けることができますが、非常に激しい運動量が求められます。サイドハーフであるファクンド・ワジェルやファン・パブロ・ビゴンがボールキープしてる間にサイドバックがそれを追い越す勢いで攻め上がりサイドでの数的優位を作り出し攻略するか、サイドハーフが中央に絞ったときにそこにできたスペースにサイドバックがオーバーラップを仕掛けるというものです。

 

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そして守備面の特徴として中盤と守備陣との間が開きがちな布陣なため、アンカーのサイドを突かれたり敵に引っ張り出されてしまうと、バイタルエリアが手薄になり常に危険な局面を招くことになりがちなため、アンカーであるエリク・リラと両センターバックであるニコラス・フレイレとホアン・バスケスらの連携は非常に重要となります。アンカーにはカバーリング、1対1などの守備能力や高い持久力が求められ、攻撃の芽を事前に摘み取れるハードワーカーが必要です。

 

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残念ながらファン・マヌエル・イトゥルべには、そこまでのフィジカルなスタミナがなく、カルロス・グティエレスやファクンド・ワジェルには、サイドを鋭く抉るような攻撃力はありません。次に問題となったのは、レギュラー陣であるアラン・モソによる規律違反による懲罰。そしてファビオ・アルバレスやセバスチャン・サウセドといった昨シーズン活躍した選手たちの負傷によるプレーレベルの低下です。

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前者は第6節前に行われた記者会見で昨シーズン終わりから今日に至るまでのリハビリテーションでだいぶ回復してきているとコメントしておりましたが、まだまだその前までのレベルには程遠い状態。後者に至ってはようやく第3節から戦列復帰したと思ったら、試合中出場した数分後に再び負傷。途中交代を余儀無くされました。そういった訳で、昨シーズンと同じレベルを現在のチームに求めるのは酷であるということです。幸いにも漸く次節からファン・ディネンノが戦列復帰するということですし、アラン・モソもレッドカードで退場した1試合欠場から復帰するでしょう。

 

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しかしながら次節はホームゲームとは言え、昨シーズンリーグ優勝した対クラブ・レオン戦。さらにはアウェーゲームの対CDグアダラハラ戦とホームゲームの対サントス・ラグーナ戦の後には、首都ダービーであり昨シーズンにリギージャ(プレーオフ)準決勝で大苦戦した対クルス・アスル戦といよいよリーグ戦も中盤に入って、もう1つも落とせない試合が続くことになります。