Pumas de la UNAM

メキシコサッカー1部リーグのクラブ・ウニベルシダ・ナシオナルを応援している日本人の備忘録

メキシコリーグ 2023年前期ステージ 第12節 裏話

 

2026年FIFAワールドカップ北中米大会開催に備え、来年から改修工事を迎えるアステカ・スタジアムに束の間の別れを告げるために、メキシコシティダービー×2戦(対クラブ・アメリカ、クルス・アスル)を普段のオリンピック・スタジアムにおけるチケットのおよそ10倍、5倍以上の金額を支払って、観戦してきました。最近テレビ中継で見ている場所がどんなものなのか?を体感する目的も片方であったのですが、結論からすると試合全体を見渡すには不向きな場所であることが分かっただけでも収穫でした。恐らくこの後、リギージャ(プレーオフ)で再び相まみえる可能性も0ではないので、その際には2階席スタンドに行こうかなと思います。

 

 

自分が現在住んでいるレフォルマ大通り付近からアステカ・スタジアムへ行くには、里親の家があるトラルパン地区へ行くのと同様、まずはメトロバスで終点まで行ってから普通のバスで戻る方法が一般的ですが、毎週末に青果市場に買い出しへ行くのに付き合いがてら、その施設内にあるタコス屋さんでタコス・アル・パストール*1を食べるのは先週行っていたので、今回はウーバーで行くことにしました。時間帯にもよるのですが、試合が行われる時間帯は結構金額が高い傾向にあり、片道約300ペソ程度でした。ただ道中は思ったよりも空いていたので、1時間掛からずに到着。

 

 

スタジアムへ入場してから小雨交じりの天気となり、やや肌寒い気温の中で両チームによるウォーミングアップ。今週は1週間に2試合の日程でしたので、アントニオ・モハメド監督はターンオーバーをして、両ボランチを前節がサンティアゴ・トリゴスとヘスス・モリーナ、今節がロドリゴ・ロペスとウリセス・リバスをそれぞれ起用。右サイドバックに前節はパブロ・べネデンド(途中出場でヘスス・リバス)、今節はパブロ・モンロイ(途中出場でパブロ・べネデンド)を起用。特にサンティアゴ・トリゴスによる対ケレタロFC戦におけるスタッツは、7カバーリング、敵陣における正確なパス46本、2タックル、3クリアとチームナンバーワンの成績でした。

 

 

一番印象的であったのは、センターサークル付近から自陣へ相手チームが侵入を始めると同時に、両センターハーフ(セサール・ウェルタとエドゥワルド・サルビオ)やボランチ(ロドリゴ・ロペスとウリセス・リバス)らが、目の前で物凄いスピードでプレスを掛けていた場面でした。それだけでなく、両チームともに前半はイエローカード各2枚、後半に至ってはPUMASだけで3枚と激しいデュエルの戦いが繰り広げられました。数的不利を避けるために、イエローカードを貰った選手たちはことごとく途中交代を強いられましたが、パブロ・モンロイに関してはこれで累積5枚となってしまい、次節(22日のホームゲーム)対CFモンテレイ戦は出場停止処分となりました。

 

 

ただ代わりに出場した選手たちの中で、目立っていたのがロバート・エルガス。リーグスカップ後にハムストリングで負傷、メキシコシティダービーで負傷明けのリーグ戦出場となりましたが、スタッツは、地上戦デュエル(6/10)、空中戦デュエル(3/3)、正確なパス(12/15)、4タックル、2インターセプト、1クリア&1シュートブロックと漸くチームのシステムに慣れてきたなと思いました。

 

 

アウェーゲームのメキシコシティダービーを勝利したことで、アントニオ・モハメド監督が掲げていた課題である、ホームゲーム同様の試合運びをするという宿題をクリアしたことで、勝ち点24というリギージャ(プレーオフ)進出まであと1勝となりました。残り5節の対戦相手は、ホームゲームで対CFモンテレイ、CFアトラス、CDグアダラハラ。アウェーゲームで対クルブ・ネカクサとクラブ・レオン。ここまでくると、欲を言えばリギージャ直接進出プラス総合順位表の第4位以内(2ndレグをホームゲームで戦える)を目指したいところ。ただここ数節におけるチームの戦いぶりを見ていると、それも全く不可能ではなく、むしろサブメンバーらの充実ぶりは目を見張るものがあります。

 

 

PUMASは現在絶好調で、勝ち点21の得失点差7で総合順位表の第3位。そして我々サポーターは、このアントニオ・モハメド監督におんぶにだっこ状態。なぜならば彼は選手たちを最高のレベルに保ち、彼らにもっと貢献させることが出来るからです。例えば、

 

 

  • セサール・ウェルタは彼のサッカー人生で最高の瞬間を迎えており、メキシコA代表への2度目の招集となった

 

 

  • フリオ・ゴンザレスは、素晴らしい瞬間を過ごしている。以前に周囲からとても批判された時期もあったが、その後今やメキシコA代表へ初招集されるほどに成長した

 

  • 彼は就任時に各ライン(攻撃陣、守備陣)の補強選手を要請し、クラブはそれら全てを彼に与えた。そして彼ら選手たち全員が、今現在良い状態である

 


アントニオ・モハメドという男は、このクラブに規律を与えるためにやって来ました。そして少しずつではあるが前に進んでおり、PUMASの将来はこの男の掌に握られていると言っても、決して過言では無いでしょう。

 

*1:アチョーテという食紅、辛くないチレ、にんにくなどで作ったスパイス液で豚肉をマリネし、それを串に刺し大きなかたまりにして回転させながら焼く。そしてその豚肉をナイフでそぎ落としトウモロコシでできたトルティーヤにのせタコスの具にする。豚肉と一緒にパイナップルも焼いていて、それも豚肉の上にのせてくれる。このトルティーヤ、日本のタコスのイメージと比べると小さめで手のひらサイズなのでぺろっと3つ4つは食べれる。